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春夏振り返り① 県大講義と森町演奏

更新日:8月28日

猛暑が続いていますがみなさまお元気でお過ごしでしょうか。今年は夏が来るのも早く、残暑もまだまだ続きそうですね。どうかお身体を大切に過ごされますように。


春から夏にかけてスケジュールの関係で近年稀に見る多忙な毎日でしたが、お盆でようやく時間を取ることができて、せわしない気持ちが徐々に落ち着いてきました。

書きたいと思っていながらできなかった、春からの出来事を振り返っていきたいと思います。


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カンボジアからの帰国後、まずは静岡県大での特別講義を5月と7月に計4回開講いただきました。

今回の講義内容は、舞台芸術について。「時」と「場」と「観るものの存在」に焦点を当てながら、西洋編と東洋編に分けて組み立てました。


西洋編は、ラスコー洞窟の壁画から始め、宇宙の音楽の概念、教会建築と音楽との関係、ギリシアから現代までの舞台構造の変遷とそれに伴う聴取感覚の変化(フルート演奏でデモンストレーションも)、地下鉄演奏の社会実験の紹介など。

東洋編は、天岩戸神話から始め、農耕暦と祭事と芸能の関係や、近代芸能に見る呪術的名残、民俗芸能のフィールドワークから共同体と芸能の考察など。横笛3種の演奏も。


音楽や芸術に少しでも興味を持ってもらえたらと、毎回新しい文献や資料を読み込み、講義の1秒前まで唸りながら内容を推敲していますので、側から見たらきっと鬼の形相になっていると思います笑


演奏で使う脳の領域は、恐らく言語野とは全然違う場所を使っているのだと思うのですが、私の場合、演奏の後に言葉を選んで話すことにかなりの脳の負担を感じるため、話す内容は全て事前に作成しています。

脱線や余談もしますが、本当はもっと柔軟にできたらと常々…その場で話を組み立ててスラスラと話せる人を見ると本当に尊敬します。


そういうわけで、古今東西の音楽や楽器と人との関係について、またはカンボジアのことや音楽活動のことなど、これまでの講義内容は全て原稿がありますので、いつでもご対応できるかと思います。レクチャー付き演奏や講演など、またもちろん演奏だけでも、ご興味がありましたらぜひお声掛けください。


今回は同じ学生さん相手に複数回の講義をしたため、講義後に感想を伝えにきてくれる人もいて、点と点が結びついて感動した!とか、私も神楽を舞ったことがあります!と言いにきてくれたり。生の声を届けてくれることは何よりも嬉しいことです。

少しでも何か心に残ったり、新しい発想や視点の獲得に繋がったようでしたら講師冥利に尽きます。


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6月には森町文化会館にて、小中学生を対象とした参加型コンサートを行いました。

こちらは地域の方々の主導で開催されたコンサートで、私への依頼はコンサート内容の企画制作、演奏、カンボジアの話、というリクエストでした。


演奏+講演+企画制作というマルチタスクでしたが、大学の生徒たちに裏方をお願いし、共演のハープの斎藤樹里ちゃんに支えてもらい、とても充実した内容になりました。

残念ながら小学生は熱中症アラート発令のため来館できず、中学生のみでしたが、森中学校の箏曲部との共演もあり、全員で歌ってもらったり、楽器体験もしてもらったり、カンボジアについてのクイズもしたり。

生の演奏を聴くのは初めてという子たちがほとんどで、割れんばかりの拍手や熱演の大合唱で会場の一体感がすごく、心から音楽を楽しんでくれたようで嬉しかったです。


箏曲部の演奏も素晴らしくて、箏とフルートのデュオを長らく続けていた私としては、懐かしい響きの中に佇むことができました。

箏曲部の顧問は新卒の先生で、なんと勤務校の常葉大学の出身でした。私の授業は取っていませんでしたが知っていてくれて、顔合わせの時に種明かしをしてくれました。かなりの激務そうでしたが、どうか心身ともにお元気で益々ご活躍されますよう。


コンサートの発案者は森町天宮神社十二段舞楽保存会の方で、いつも私のカンボジアの活動を応援してくださっています。

昨年のカンボジアで田舎の孤児院や学校を回って演奏したことや、県大での講義を聞いてくださり、森町の子どもたちにも演奏や話をしてほしい、という依頼から企画が始まり、有志の方々と一緒に作り上げてくださいました。

当日までのご尽力、本当にありがとうございました。終演後にはお一人の方から、なんと手作りの笛をいただきました!さすが祭りの町。名前入りの太鼓の飾りまで付けてくださって…感激です。


今回のコンサート内容構成にあたり、生徒さんには主体的な参加をしてもらおうと考え、演奏や合唱のほか、司会やプログラム作りもしていただきました。学校・地域・演者一体となって作り上げたコンサートでした。

学校からは、地域の人たちが子どもたちを気にかけてくれていることが伝わってきた、教育プログラムとして最良のモデル、との感想をいただき、連携の大変さはあれどもこのような形が今後も展開されたらと願っています。


この日来られなかった小学生は、どうしても行きたい!と先生方に訴えていたと聞き、そんなことを聞いてしまったら…と、来月に小学校に出張演奏に行くことにしました。また森町の子どもたちに会えるのが楽しみです。






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