東京音大キャリア演習講義のゲスト講師としてお招きいただき、カンボジアの音楽教育活動を中心にお話させていただきました。
キャリア演習は元フジテレビ取締役の曽根正弘氏特任講師として担当し、様々な分野の専門家をお呼びして、音楽を社会にどう活かしていくか考えるという講義。音楽家がどう社会に繋がっていくか、という音楽家目線での講義のご依頼を受けて、クラシックのステージから離れた場所での音楽活動について、こういう方法もあるよ、という一つの提案になればと、講義をさせていただきました。
自分の学生時代を振り返っても、学生の時には、音楽のステージというと試験やコンクールだったりと、音楽そのものでの他者との交流というより、演奏の出来不出来を評価される機会のほうが多く、音楽が委縮してしまったり小さくなってしまうという経験を、私自身も随分してきました。もちろんプロになるためには(プロになっても)評価される機会は避けて通れないけれども、他人の評価を意識しすぎてしまうと音楽の本質を失ってしまいかねないなと、危険に感じることもあります。
本当に音楽を切望している人たちに向かって演奏することは、自分のなかの音楽もとても大きくなっていく経験で、カンボジアの子どもたちの前で演奏している瞬間は特にそれを感じます。
講義後には質問がたくさん挙がり、学生さんが強い興味を持ってくれていることがわかりました。
若く瑞々しい感性をどうか大切にして、未知の世界へとどんどん旅立っていってもらえたらいいなと、そういう思いを感じてくれていれば嬉しいです。