だいぶ時間が経ってしまったけれど、カンボジア振り返りの続きを。
前回の記事までは、滞在前半の、スラム街や孤児院、地方の農村部を回って演奏をした時の様子や写真を上げましたが、今回は滞在後半のプノンペンでのこと。
プノンペンでは、音楽教育、コンサート2回、連日の現地の方々とのミーティングなど、ここでも時間の足りなさを惜しむ充実の滞在でした。
音楽教育は、4回目となるドンボスコスクールで。
前回は2020年3月。あの時はカンボジアの医療事情を心配され、もう危ないから早く帰った方がいいと言われながらも最後まで粘って帰国したのですが、そんなこともあったねと笑い会える日がきたのが本当に嬉しくて。
コロナの間、寄宿生は自宅に戻るか、身寄りがない子は先生の家で同居。学校は2年半休校と再開を繰り返して授業が進まず。
そういう状態だったのは連絡を取り合っていたので分かってはいたけれど、オンライン学習が進まず読み書きすらできない子がとても多くなったこと、子どもの学習能力が後退してしまったこと、メンタルに問題を抱える子も増えたことなどを聞きました。直に会って話し、校内の様子を見ていると、その深刻さが肌感覚で理解できました。
そんな状況でも、音楽に関しては、中学生以上にはリコーダーを一人一本持たせて、全員が楽器を吹くことができる体制にもなっていたり、音楽室を改修して音楽ができる環境を整備する予定にしていたり。
同時に、子どもたちは授業にしても演奏を聴くことにしても前回よりも耳が開いている子が多く、何をしても全身で感じるし全力で楽しむガッツもありました。
運営陣や先生の努力が随所に花開いていて、次に来る時が益々楽しみだな。
音楽の先生とも大分打ち解けてきて、一緒に食事をしに行ったり、なんと婚約式にも呼んでくれたりして、心に残る経験となりました。カンボジアの人は本当に暖かくて懐が深いです。
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そしてプノンペンでのコンサート。一つは現地在住/在住経験のある日本の方々のコンサートに飛び入りで参加させていただき、もう一つはコンポンスプー州の貧困家庭支援のためのチャリティコンサートでした。こちらはフルートソロで2時間のフルコンサート。
滞在後半ともなると疲労が溜まり出す頃で、サプリや漢方、ヨガや筋膜ローラーなどに頼り切りながら頑張りました。
演奏会場は、イタリアンレストランのテラスとレジデンスの屋上。どちらもオープンエアな場所だったので、色んな音が聞こえながらの演奏はなかなかに集中を要するものでした。
特にチャリティコンサートは週末の夜で、アニーローリーをしっとりと演奏している時に、すぐ近くから演歌のようなクメール歌謡が大音量で聞こえてきた時には、もう一度吹き直そうかと思ったほど笑
でもお客様はとても集中して聴いてくださり、生の楽器の音が持つエネルギーや音色と表現の多様性を感じてくださったようで一安心でした。
チャリティコンサートの様子と収益はこちらをご覧ください。
いつかやってみたいと思っていたカンボジアでのチャリティコンサート、実現に向けて動いてくださった全ての皆様のご尽力に心から感謝申し上げます。
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それから、ミーティングも多ジャンルな方々と。
まずはJICAの海外協力隊の音楽教員のみなさま。そして、カンボジア唯一の芸術大学であるプノンペン王立芸術大学の音楽学部長さんと。また、スラム街で教育支援をしているカンボジア人NGO「ACE」のメンバーたちと。
日本の方々とは、現地での苦労話や教育の難しさ、国民の感性の違いと戸惑いなどのシリアスな話題がひとしきりあった後、でも、ここでの時間は生涯の宝で、この宝を胸に日本に帰っても頑張れる、そしてまたいつかカンボジアに絶対に戻ってきたい!と、全員が胸を張って仰ったことに心打たれました。
芸術大学では、フルートも吹かれ、日本にも留学経験のある学部長さんとの話に花が咲きました。王宮の宮廷音楽家も務めた方で、クメール音楽のリサーチやフィールドワークをしたいと伝えたところ喜んでくださり、次回渡航の際にもお会いする約束をしました。
ACEのメンバーたちとは変わった形のミーティング。彼らの本拠地であるドミトリーに呼ばれ、彼らに私自身の考え方・在り方・行動原理などをシェアしてほしいとのディレクターからの依頼。
これがとてもスペシャルな時間となったので、別投稿にしてもう少し綴ります。
書き出すと思いが溢れて長くなってしまうなあ。もう少しお付き合いくださいましたら嬉しいです。